BLOG ブログ

専任技術者・主任技術者・監理技術者の違いは(令和5年1月法改正対応版)

専任技術者は建設業許可取得の要件となる技術者

 専任技術者は、建設業許可を取得するときに許可を受けようとする業種ごとに必要となる国家資格や実務経験などを持つ者です。したがってこの専任技術者になる資格を持つ者がいない場合には建設業許可を受けることができません。営業所が複数ある事業者さんの場合はそれぞれの営業所ごとに配置され、請負契約の適正化や技術面での現場サポートを担当します。そのため必ず常勤である必要がありますが、その営業所での専任性が認められれば出向社員でもなることができます。

 専任技術者はその名の通りその営業所に専任として常勤していなければならないので、請負金額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上の「公共性のある施設もしくは工作物または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事(個人住宅を除くほとんど全ての工事が該当してしまいます)」については、主任技術者・監理技術者とは兼ねることができません。逆に言えば個人住宅の場合のほか、その営業所で締結された請負契約であり工事現場が営業所の近隣地の場合は主任技術者・監理技術者との兼任が認められる可能性もあります。

主任技術者・監理技術者は許可を受けている業者が現場に配置する技術者

 主任技術者・監理技術者は建設業許可を受けている事業者がその規模に応じて現場に配置する義務がある技術者です。現場に配置されるという面ではほかに現場代理人という者もいますのでそちらも説明します。

1.主任技術者

 主任技術者は、一定規模以上の現場で監理技術者が配置される場合を除きすべての現場に配置する必要があります。現場における施工の技術上の管理監督や下請けの管理などをする者でその請負業種に沿った資格・経験を持つ者である必要があります。

 具体的に説明すると、①その業種に対応した1・2級の国家資格を持っている。②一定期間以上の実務経験がある。③その業種に対応した登録技能者の講習を受けている。それぞれの詳細はまた別の機会に説明しますが、この3つのいずれかの条件に該当すれば主任技術者になることができます。

 主任技術者は、請負金額が4000万以上(建築一式は8000万)の場合(*令和5年1月より改定)は専任の義務があるため、工期が重なる複数の現場がある場合はそれぞれ別の主任技術者を配置する必要があります。

2.監理技術者

 管理技術者は、主任技術者が配置される現場を除きすべての現場に配置する必要があります。具体的には4500万以上(建築一式は7000万)の請負現場における施工の技術上の管理監督や下請けの管理などをする者でその請負業種に沿った資格・経験を持つ者である必要があります。現場における業務の内容はほぼ主任技術者と変わりませんが、資格要件は主任技術者よりハードルの高いものとなっています。

 具体的に説明すると、①指定建設業7業種(土木一・建築一・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)の場合は1級の国家資格などを持っている。②指定建設業以外の22業種(大工・左官・とび土・石・屋根・タれブ・鉄筋・しゅんせつ・板金・ガラス・塗装・防水・内装仕上・機械設置・熱絶縁・電気通信・さく井・建具・水道施設・消防施設・清掃施設・解体)の場合は1級の国家資格などを持っているまたは一定期間以上の実務経験がある。このいずれかの条件に該当すれば管理技術者になることができます。

 主任技術者は現場専任義務(兼務できない)が請負金額で決まりますが、監理技術者は以前はすべての現場で専任でした。令和2年の法改正により緩和され兼務が可能となっています。具体的には、「専任の監理技術者補佐」というものを置けば本人は「特例監理技術者」となり2か所まで兼任可能となります。その場合でも発注者の許可を取る事、監理技術者補佐と常時連絡が取れる体制が整っている事、現場の主要な会議や巡回・立会など職務を適正に遂行できる環境にある事などの縛りがあり、兼任が不適切と判断されれば国交省もしくは都道府県知事より特例監理技術者の変更を指示される場合があります。

3.現場代理人

 現場代理人は、元請業者の代表者の代理人として公共工事や大規模な民間工事の現場にに配置される責任者です。公共工事においては配置が義務付けられていますが、民間工事の場合は契約の内容によって配置義務を判断します。

 現場代理人は、工事を統括、請負代金の請求、発注者との連絡・交渉、下請けとの連絡など現場全体の業務に当たります。

 法律上では資格や実務経験などの要件が定められていません。様々なケースはありますが、一般的には所属する元請け会社と3か月以上の雇用関係を条件とされていることが多いのでほぼ誰でも務めることができるといえます。実務上は主任技術者や監理技術者が現場代理人を兼ねているケースが多いので、結果的には現場代理人に有資格者が配置されているということになっています。

まとめ

 令和5年1月の法改正を整理する意味で今回ブログにしました。
ポイントは、専任技術者は建設業許可の要件で事務所にいることが基本の人。
主任技術者と監理技術者は現場に配置される人で、その違いは主に請負金額の大小となっています。
法改正の内容は、資材の高騰による請負金額の上昇にともなって要件の基準金額も上げる必要が出てきたため①主任技術者の専任要件を3500万円以上(建築一式7000万円)から4000万円以上(建築一式8000万円)に変更。②監理技術者の配置要件(主任技術者との境界金額)を4000万円以上(建築一式6000万円)から4500万円以上(建築一式7000万円)に変更。ということでした。また大きな現場にいる責任者的な立場の現場代理人という人にも軽く触れてみました。

近年特に目まぐるしく法改正が進む建設業界では情報アンテナを常に張っている必要があります。建設業に大きく関係するような法改正は随時ブログにてご報告させていただきますのでご興味がある方はブックマークでもしておいていただければと思います。

CONTACT
お問い合わせ

三重県鈴鹿市で建設業に強い行政書士をお探しなら、
行政書士事務所ホウプフルへご連絡ください。